防護柵とは(基礎知識)
普段我々が使用する道路には、様々な危険が潜んでいます。運転操作を誤った車両の逸脱による交通事故、横断禁止区間での歩行者の道路のみだりな横断による事故など。これらは本来起きてはならぬことですが、時に人命を脅かす危険を含んでいます。防護柵は万が一の際に被害を最小限に留める、またはそれらを防止するために設置され、我々の生活を安全・安心・快適にするために必要不可欠な道路インフラです。
歩道部に設置される防護柵
路肩部に設置される防護柵
防護柵の目的
防護柵は、車両を対象とする「車両用防護柵」と、歩行者等を対象とする「歩行者自転車用柵」に区分されます。車両用防護柵は、主として進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道等に逸脱するのを防止すると共に、車両乗員の安全確保、車両の破損を最大限にとどめる、車両を正常な方向へ軌道復元させることを目的に設置されます。歩行者自転車用柵は、歩行者及び自転車の転落もしくはみだりな横断を防止することを目的に設置されます。
車両の路外逸脱防止
歩行者の横断防止
車両用防護柵の設置目的
車両用防護柵は以下の目的で設置されます。
①車両の逸脱防止
誤操作などにより車線を逸脱した車両の、車道外への逸脱を防止します。
②乗員の安全確保
衝突時に防護柵でエネルギーを吸収することにより、乗員への負担を軽減します。
③車両の軌道修正
車道を逸脱しようとした車両を、元の軌道に戻すことで安全を確保します。
④第三者の安全確保
歩行者や対向車など、第三者に被害が出ないよう防護します。
車両用防護柵の設置区間
①主として車両の路外への逸脱による乗員の人的被害の防止を目的として設置する区間
- ・盛土、崖、擁壁、橋梁、高架などの区間で路外の危険度が高く必要と認められる区間
- ・海、湖、川、沼地、水路などに近接する区間で必要と認められる区間
- ・橋梁、高架、トンネルなどへの進入部または車道に近接する構造物などに関連し特に必要と認められる区間
②主として車両の路外などへの逸脱による第三者への人的被害の防止を目的として設置する区間
- ・主として車両の路外への逸脱による二次被害の防止を目的として路側に設置する区間
例)鉄道や他の道路などに立体交差または近接する区間 - ・分離帯を有する道路において、主として車両の対向車線への逸脱による二次被害の防止を目的として設置する区間
例)高速道路、自動車専用道、走行速度の高い区間で対向車への逸脱による事故を防止するために必要と認められる区間
③その他の理由で必要な区間
- ・事故が多発する道路、または多発するおそれのある道路
- ・幅員、線形等道路及び交通の状況により必要と認められる区間
- ・気象条件により特に必要と認められる区間
歩行者自転車用柵の設置目的
歩行者自転車用防護柵は、下記の目的で設置されます。
①歩行者等の転落防止
歩道外に高低差がある場合など、歩行者が誤って路外に転落することを防止します。
②歩行者等の横断防止
歩行者の道路の横断を抑制し、交通事故を防止します。
歩行者自転車用柵の設置区間
①歩行者等の転落防止を目的として路側または歩車道境界に歩行者自転車用柵を設置する区間
- ・歩道等、自転車専用道路、自転車歩行者専用道路および歩行者専用道路の路外が危険な区間などで歩行者等の転落を防止するため必要と認められる区間
②歩行者等の横断防止などを目的として歩車道境界に歩行者自転車用柵を設置する区間
- ・歩行者等の道路の横断が禁止されている区間で必要とされる区間
- ・歩行者等の横断歩道以外の場所での横断防止が特に必要と認められる区間
- ・都市内の道路などにおいて、走行速度が低く、単に歩道等と車道とを区別することのみにより歩行者等の安全を確保することが期待できる区間のうち、特に必要と認められる区間